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2010年1月25日 (月)

読書日記:高橋克彦「たまゆらり」

高橋克彦「たまゆらり」
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 昨年4月に出た短編集。長編小説とは違った、きっちりとした「落ち」のある
 短編で、肩透かしや、何を言いたかったのか分からないというような、消化不
 感の無い、読後感が心地良い短編集である。(最近の恩田陸に見習って欲しい)。
 この「話として落ちのある分かりやすさ」それでいて「余韻のある読後感」を
 味わえたのは久しぶり。(ここでいう「久しぶり」というのは、高橋克彦の作
 品としては、という意味ではなく、最近の読書の中で、という意味)
 眉村卓や、半村良、梶尾真治といった、70~80年代の第一世代に属するSF
 作家の作品群と同種の味わいである。実に懐かしい感じがした。
 作風も、ホラー以外に昔で言えば明らかにSFに分類されたはずの作品が多く、
 全11篇中、純然たるホラーは一遍のみ。他は眉村卓風の日常の中に突然出現
 した、非日常の裂け目を描いた短編や、ホラー風味があるけど、読んだ後に心
 が温かくなるファンタジーとでも言いたくなるような作品が多い。
 但し、この作品集の中の「純然たるホラー」に分類した作品は本当に怖い。
 日常の中に潜む異界の存在の怖さを見事に描き切っていると評したい。
 怖さを演出しようというわざとらしい表現はなく、ストーリー自体が怖いので
 ある。読後、「読まなきゃ良かった」と後悔した作品である。
 ホラー専業作家の作品を幾つか読んだことがあるが、実は全く怖くなく、ちょう
 ど映画の中で、正体を見せずに、カメラワークで恐怖心をあおるような演出がある
 が、そういう雰囲気で怖がらせる作品が多く、実際に読んでいてちっとも怖くない
 ことが多い。
 しかし、この短編は本当に怖かった。少なくとも一晩は、風呂に入るが嫌だったし、
 寝られなかった。本当にありえる話としてのリアリティが強いのである。
 本気で怖がりたい人にお勧め。

 最近は、時代小説が多く、この短編で描いたようなSFジャンルの長編が遠ざか
 っているようなので、久しぶりに長編の新作も出して欲しいと切に願うのであった。

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