« CD購入日記(4/24):店頭購入5枚(実質9枚)です。 | トップページ | CD聴盤日記(4/24):今日の店頭購入から Pretenders ボックス5枚。 »

2010年4月24日 (土)

読書日記(4/23):ジェラルディン ブルックス (著)「古書の来歴」

ジェラルディン ブルックス (著), 森嶋 マリ(訳)「古書の来歴」 
2010_0418_162853 「古書」という単語に惹かれて購入した。
一冊の古書「サラエボ・ハガダー」にまつわる歴史ミステリーということで、伝奇色濃厚な小説を期待したもの。
しかし、残念ながら伝奇色はゼロ。
歴史ミステリーの「歴史」とは何の歴史か。
この古書が、如何にして製作時点から現存までの道筋を辿ってきたかという歴史。
ユダヤ教は偶像崇拝禁止なので、宗教画の類もNGということで、宗教書にも挿絵が無いのが当たり前だったのが、細密画の挿絵の入った本が発見され、それまでの定説が覆ったというもの。
どのような経緯で製作され、そして現存の道を辿れたのか、というのが、この小説での歴史であり、ミステリーな所ということである。
 
 しかし、その製作のナゾや、中世以降のユダヤ教迫害(焚書や禁書が当たり前)の
 中、なぜこの子の本はその犠牲にならずに現存の道を辿れたのか、というナゾ解き
 に、どのように迫っていくのか、というのが、この手の小説の読者として、面白み
 を求めるところである。
 しかし、見事な肩すかし。
 謎解きの発端だけは提示されるが、その後は、直ぐにその解答編とも言える物語が
 始まってしまうのである。答えに辿り着く過程は一切無し!!

 「サラエボ・ハガダー」に付着している物質(蝶の羽、血の染み、猫の毛 等)か
 ら、その物資がどのようにしてその本に付着したか、その原因・理由を、その付着
 した過去の時点でのエピソードとして物語るという構成である。
 各エピソードの主軸となるのは、ユダヤ教徒迫害の歴史。
 第二次大戦でのナチスによる迫害から、どんどん遡り、中世スペインでの異端審問
 にまでエピソードは遡る。
 各エピソードはスペインで作られたこの本がサラエボに辿り着くまでの来歴を明ら
 かにしていくというもの。
  その語られる内容に歴史小説的な面白さがあるというのが、この本の売りのようで
 あるが、その歴史にはちっとも面白みを感じることは出来なかった。
 ひたすらユダヤ教徒迫害の様子が時代を変えて語られ、その迫害の中、いかに製作
 され、かついかにして現在にまで残ったかを物語仕立てで語られる。
 しかし、その物語のストーリーは唐突に挿入されるので、なぜそういう経緯である
 と言い切れるのか、その結論に至った理由が何も提示されないので、謎解きのよう
 な面白みや発見は一切ない。
 作者が勝手に妄想しているだけという感じにしか見えないのである。
 普通、伝奇小説であれば、さらに関連しそうな別の古書が登場したり、何か間接的
 な証拠物から、その古書の製作過程が推理されたり、という面白みがあるのだが
 そういう面白みは一切なし。
 一方的に、「それはこうだったから」と語ってお終い。

 又、翻訳物に多い冗長で、持って回ったような表現、ストーリーに何の関係もない
 どうでも良い描写が多く、読み通すのが苦痛だった。
 更に、この小説にはやたらに性的描写が多いのも気に入らない。一番説得力に欠け
 る描写の一つである。
 主人公の女性修復師が、博物館の学芸員と特に恋に落ちるようなエピソードもなく、
 一度食事したその日に一晩を過ごしてしまうという、全く無意味なエピソード。
 又、女性主人公の親子関係のエピソードも、この小説のテーマに対して何か重要な
 複線にもなっているかと思って我慢して読み続けたが、全く無意味なままであった。
 ハガダーの来歴をの解き明かしには何も影響してこない。
 まあ、中には、この女性主人公の複雑な家庭環境のエピソードにも、小説に深みを
 与えているなんていう評価もあったりするのであろうが、全くそんな効果は感じら
 れなかった。
 本当、無意味なエピソードと描写が多すぎる。
 そして、最後にとってつけたかのように、ラスト50ページ(全約500ページ)
 で贋作事件を発生させる。
 何も最後の50ページでミステリっぽい事件を起こさなくても良いんじゃないの?
 とこれも興醒め。
 なぜこれが欧米各国でベストセラーとなっているのか理解に苦しむ小説であった。

|

« CD購入日記(4/24):店頭購入5枚(実質9枚)です。 | トップページ | CD聴盤日記(4/24):今日の店頭購入から Pretenders ボックス5枚。 »

読書」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 読書日記(4/23):ジェラルディン ブルックス (著)「古書の来歴」:

« CD購入日記(4/24):店頭購入5枚(実質9枚)です。 | トップページ | CD聴盤日記(4/24):今日の店頭購入から Pretenders ボックス5枚。 »